介護業界にまん延する問題と改善の課題

介護業界は急速に成長した業種であるがゆえに明確なルールが確立しておらず、様々な事柄がそれぞれの施設の裁量に任されている問題がある。法律に基づく規制は設けられているものの、現状では、その規制と介護現場がうまく噛み合っていない。特に要介護者の生活介助を年中無休の24時間体制で行う入居型の介護施設では必要な人員が圧倒的に不足している他、法律で定められている最低基準が業務の維持に不向きなことも問題視されている。慢性的な人手不足を解消するため、施設の多くは未経験者や無資格者を積極的に受け入れている。必要な資格を就業後に取得させることで規制をクリアする意図があるが、介護に関する経験も知識も無い素人を現場に出して介助に従事させることによって、利用している要介護者との間にトラブルが生じることも珍しくない。

介護業界にまん延する問題は大別すると法律と現場の実状とのかい離、そして慢性的な人手不足がある。どちらの問題も早急に解決すべき事柄だが、介護の仕事は要介護者の介助作業を日時に関係無く行う多忙なものなので人気が低い。そのため、賃金を上げても希望するだけの人員の確保が困難なのが現状だ。慢性的な人手不足は一人あたりの仕事量の増大を招き、そのことが更なる多忙化に繋がっている。そのため、法律と現場の実状とのかい離がますます進んでしまい、法改定が間に合わなくなっている問題もある。人手不足を解消するために外国人労働者を受け入れる案もあるが、賃金や滞在日数、スタッフ同士のコミュニケーションなど取り組む課題が山積みなので介護業界の問題解決には至っていない。